法律相談CONSULTATION
個人・会社の債務整理
個人・会社の債務問題にかかわる事件(破産、過払い金請求など)
借金、負債の問題を解決する手段にはどのようなものがありますか。
法的手続きとしては、破産、会社更生、民事再生手続き、個人再生手続きがあります。いずれも、経済的に行き詰った個人、会社の経済的更生を期するための制度です。これらの法的手続きによらず、債権者側と話し合いを行っていく任意整理という方法もありますが、債権者側の合意がいるため、なかなか成立しない、或いはあまり負債額が減らないというデメリットがあります。消費者金融業者からの借り入れについて、利息制限法の制限を超える利率で返済を行っていると、利息制限法の制限を超えている部分について元本への返済とみなされる結果、消費者金融業者から返済を受けられる場合があります(過払い金返還請求)。近時は、この過払い金返還請求により、残債務が消滅するばかりかお金が返ってくるということで負債問題が解決される事例が非常に多くなっています。
個人の破産手続きについて教えてください。
破産手続きは、破産時に保有している資産を差し出す代わりに、その資産によって支払いきれなかった負債については法的な支払い義務を免除する(免責する)という手続きです。差し出す資産は、相応の金額の金銭に換金できる物に限られますので、一般的には家財道具などは換金性に乏しく、差し出す必要がないことがほとんどです。生命保険の解約返戻金や自動車(それなりの金額の)、不動産などがなければ、差し出すものが何もない(何かを取られることはない)まま、負債のみ免除されるということになる例も多数あります(同時破産廃止手続き)。資産がある場合には、破産管財人(弁護士が選任される)が選任され、財産の処分(換金)と債権者への弁済の手続きを行います。破産管財人が選任される場合でも、99万円までの現金等、一定の金員、資産については自由財産として破産者の手元に置くことが認められていますので、破産したからと言って一切合財を持って行かれるということにはなりません。
個人再生手続きについて教えてください。
破産しても免責が見込まれない場合(著しい浪費やギャンブルなどが破産の原因の場合)や住宅を手放したくない場合などには、個人再生手続きの利用が考えられます。破産と異なり、資産等を手放すことがないまま、借入金の一定割合を支払うことで、残額を免除してもらう手続きです。保有している資産の金額や負債の総額によって、免除してもらえる割合は異なってきます。サラリーマンなど給与所得者の場合には、再生計画案について裁判所の認可のみで足りる(債権者の同意が不要)給与所得者等再生手続きという手続きもあります。
過払い金返還請求について教えてください。
債務の整理を弁護士に委任した場合、弁護士は債権者に対し、債務整理手続きを受任したことを通知するとともに、それまでの負債の返済状況を整理した取引履歴を開示し、送付するよう求めます。債権者より取引履歴が届きますと、法律事務所において、利息制限法に基づく範囲内の利息金額であれば、元本がどのように減っていったかを計算しなおします(引き直し計算)。引き直し計算を行った結果、すでに元本分の支払いを終わり、元本、利息が存在しないのに支払いを行っていたことが判明すれば、業者に過払いとなっている金額の返還を求めます。業者が任意に支払いを行わない場合には、訴訟を提起し、回収を行います。過払い金請求訴訟で、依頼者の方に裁判所に出廷していただくことになることは極めて稀です。
会社の破産手続きについて教えてください。
会社の破産手続きの場合、高知地方裁判所では、会社資産の有無にかかわらず、破産に至った経緯等の調査のため、破産管財人を選任する運用がなされています(平成24年11月現在)。会社の破産の場合、従業員の解雇や複数の事業所の閉鎖を必要とするなど、大規模な手続きになる場合も多く、そういった場合、破産管財人の報酬の一部として予め裁判所に納付する予納金も高額となります。あまりに追い詰められ、手元にほとんど資金がないという状態になってからですと、裁判所に納める費用が出ないために破産申し立てが困難になる場合もあります。従業員の未払い給与については、8割を限度に立て替え払いを行ってくれる制度がありますので、何か月分もの未払い賃金が発生してしまっているような状態になっているのであれば、破産をしてあげる方が従業員にとっても良いということも考えられます。会社が保有する資産の内容を整理したり、破産により実際に営業所を閉めていく段取りを検討したりなど、破産申し立てには相応の事務量、打ち合わせが必要です。先述の予納金の問題もありますので、時間的にも、資金的にも、あまりに追い詰められた状態になる前に決断をしていくことが肝要です。
民事再生手続きについて教えてください。
民事再生手続きは、事業を廃止する破産と異なり、事業を継続していくことを目指す手続きです。事業を継続することで、従業員の雇用を守るとともに、債権者に対しても破産より多くの配当をすることができる余地を残すなどのメリットがあります。再生手続きの申し立てをすると、監督委員(裁判所が選任する。多くは弁護士が就任)の監督の下、事業を継続しながら、再生計画を作成していきます。不採算部門のリストラなど、営業体制の再構築、遊休資産の処分などを通じて事業の立て直し、経営計画を作成したうえで、保有資産の金額等によって定まる最低配当率等も考慮した再生計画案を作成します。民事再生手続きによっても、担保権を有する債権や税金、社会保険料などはカットの対象となりません。従って、営業に不可欠な資産(主要な店舗など)に担保権が設定されている場合や、税金、社会保険料の滞納が多い場合などには、カットされない債務が多すぎて再生計画案が立てられないということになりますので、民事再生手続きは困難です。また、債権のカット率が大きくなると、その分、債務免除益が大きくなりますので、これに対する課税の問題がクリアできず、再建を断念せざるを得ない場合もあります。いずれにしろ、もともと赤字で負債が膨らんでいった会社を再建するのは決して容易ではなく、民事再生手続きによる会社再建のハードルはかなり高いという印象です。
- ご注意
- ここに記載した内容は、簡単に一般論をお伝えしているものです。
具体的な紛争・事例には当てはまらない場合もございます。